学校法人安城学園は明治四十五年に安城裁縫女学校から始まり、その後安城・岡崎・豊田の三市にまたがり幼稚園から大学までを擁する三河の総合学園にまで成長し、平成二十四年度には創立百周年を迎えることができました。これも本学園に対してご理解とご支援をいただいてきた地域の皆様のお陰であります。
この百年という長い歳月の中には学園の存続の危機が少なくとも三回はありました。しかし、これら幾多の困難を乗り越えて学園が存続できたのは、ひとえに創立者の教育信条『男に生まれようが、女に生まれようが、誰でも無限の可能性を持っている。一人ひとりの潜在能力を可能性の限界まで開発するのが教育である。』を学園の教職員が大切にして『教育にイノベーション』を興すべく努力してきたからだと思います。
グローバリゼーションとローカリゼーションが同時進行する現代社会には様々な課題が山積しており、政治の世界・経済の世界ともに先行きが極めて不確実かつ不透明な時代に突入しております。そして、この現代社会では日常的に「変化」することが組み込まれているだけでなく、更に「ベルリンの壁の崩壊」「ソ連の崩壊」「アメリカ同時多発テロ事件」「東日本大震災」のように、わずか一日過ぎただけで世界が劇的に変化してしまうことに遭遇します。 このように変化が激しい社会では、変化に適応することのできる能力を身に付けることが、生きていくための最低条件です。更に、このような社会の中で活躍して生きていくためには、積極的に社会に変化を生み出すことのできる能力が必要です。教育の現場ではこの二つの能力を身に付けた人材の育成が、喫緊の教育課題と考えます。
そしてこの教育課題が、十五年前から『私たちの仕事はまちづくりのためのひとづくり』をテーマに掲げ、「ひとをつくることがまちをつくること・国をつくること・世界をつくること・地球をつくることに繋がるような教育」を展開するとともに、これまでの『知』・『徳』・『体』といわれる学校教育モデルに対して、『社会人基礎力』と呼ばれる行動特性を付け加えた『知』・『徳』・『体』・『行』という新しい学校教育モデルを開発することにより学園が教育にイノベーションを興そうとしてきた所以であります。
そこで、学園の各設置校が、これからの時代と社会が要求する新しい教育の創造に挑戦するためには、『教育にイノベーションを!』に取り組んできた学園のこれまでの歴史と伝統から学ぶ「温故知新」の心が必要であると考え、創立百周年を機にこの度『教育にイノベーションを─安城学園一〇〇年の歴史と展望─』を発刊することとしました。なお、発刊に当たり、ご尽力いただきました中部経済新聞社、著者である和木康光氏並びに関係各位に深甚なる謝意を表し、ご挨拶といたします。
理事長 寺部 曉